未経験でもエンジニアになれるのか?

2021/08/12

キャリアに関するご相談をよく頂くのですが、最近増えつつあるのが、「IT業界未経験で、現在はプログラミング学習サイトで勉強中。エンジニアとして転職したいのだけれど…」というご相談。

人手不足が深刻と言われている業界ですし、プログラミングに興味を持ってくれる人が増えるのはなんだか嬉しい気持ちになります。

が、正直なところ、なかなか簡単には行きません。

現在の法律では、採用時に年齢制限をかけることは禁止されています。ですが、もちろん採用する側の本音からすれば、年齢というのは大きなファクターになるわけで…。

20代であれば、ポテンシャル採用(即戦力は期待できないけれど、将来性を考慮して採用する考え方)の期待もできますが、例えば30代後半の方だと、なかなか難しい、というのが現状です。

ただし、絶対無理かというとそういう訳でもないようで、あるエージェントさんに「未経験者OKな案件ってあるもの?」と聞いたところ、「常にあるわけではないけれど、あることはありますよ。ただ、やはりタイミングが重要で、先月は需要があったのに今月は無い、なんてことがよくあります。」とのことでした。

以下、アイデアレベルですが、もし自分だったらどうするか?を2つほど紹介しておきます。

未経験からエンジニアになる方法(案)その1

1つ目の方法としては、まずはとにかく「未経験者OK」の案件や企業を探すというやり方。

これはフリーランス/正社員/契約社員といった契約形態にこだわらず、転職サイトや転職エージェントも使って、未経験者OKをうたっている会社を探して片っ端からチャレンジしてみる、ということ。

なにしろ、一番大変なのが経験ゼロを1にするところなので、ここだけはなりふり構わず、選り好みせずに突き進むべきかと思います。

また、多少時間がかかることも覚悟する必要があります。

仕事内容についても、選り好みしてしまうとなかなか難しいように思います。

ここ最近は特に、「SESで客先常駐」が嫌われる傾向にあります。多重下請け構造や、偽装請負が社会的にも問題視されていて、風当たりもきつくなっています。

とは言え、本当に避ける必要があるのは一部の会社だけです。例えば残業代を出さなかったり、異様な低賃金で働かせていたり、社員の残業時間を管理していないなど、違法だと分かっていてやっている会社は近付いてはいけません。ですが、それ以外の普通のSIerであれば、それほど嫌わなくてもよいのではないかと思っています。

「案件ガチャ」と呼ばれるように、どんなプロジェクトに行かされるかは運次第なので、連日残業させられるような過酷な現場に当たってしまう可能性もあります。ですが逆に、常駐先が大きな企業で、良い環境で働ける可能性もあるわけです。

社員数名~数十名の中小SIerさんは、基本的に営業力が無いため、お客さんから直接仕事を取ってくることがなかなか出来ません。なので、経営を成り立たせるために、上流から流れてくるSESの募集に頼る形となります。そして社員はいつも出払っていて、自社内はがらんとしている…という「SIerあるある」な状態になります。

ただ、そういうのは嫌だ!となると、それ以外の会社、つまり自社でプロダクトを持っていたり、Webサービスを展開していて、しかもそれできちんと売り上げを出している会社を探すことになり、特に地方ではかなり選択肢が限られてしまいます。

ですので、厳しいお話になってしまうかもしれませんが、まずはゼロを1にして業界経験を積む、というところを最優先にされた方が良いのではないかと思います。このステップを踏むことが出来れば、次の転職時にはより良い選択肢が増えることになるはずです。

未経験からエンジニアになる方法(案)その2

そしてもう一つは、独学でスキルを高めてポートフォリオとなる作品を作り、きちんとアウトプットするという方法。

こちらは難易度が上がりますし、さらに時間もかかるかと思います。

具体的な手段を挙げるとすると、

  1. 学習しつつ、Webサービスなど自分の作品を作り始める。
  2. 並行して、WordPress等を使って、自分自身のPR+問い合わせが出来るサイトを準備しておく。
  3. 並行して、Twitterアカウントを用意してフォロワーを増やしていく。
  4. 作品の制作経緯を、Twitter等でこまめに披露していく。
  5. 転職系ハッシュタグ( #twitter転職 など)を使って、転職の意向をネット上で伝えていく。

といった感じでしょうか。

どんな道を進むにしろ、サイトは自分自身をPRできるメディアとなります。これはフリーランス/個人事業主/一人経営者には必須の資産です。

さらに、「こんなスキルがある」ということをアウトプットするために、GitHub等でソースコードを公開するのも必須。

自分自身も、採用する側として面談に参加した経験がありますが、やはり一番安心できるのは実際のソースです。どんなに良い人そうに見えても「あー、お見せできるコード、ないんですよね…」と言われてしまうと、この人に依頼しよう、という判断は怖くてできません。(実務経験豊富であれば別ですが。)

また、見る側は「駆け出しエンジニアのポートフォリオ」として、割と穿った目で見てしまいがちなので、よくある「ToDo管理アプリ」とか「チャットアプリ」はお勧めしません。

実際の業務ではシステム全体で数十を超えるテーブルになるのが普通なので、リレーションを持ったある程度複雑さのあるポートフォリオでないと、スキル判断の材料にはならないのです。

「お?ここまで出来るのか!」と驚いてもらえるように、どのようなポートフォリオを用意するか?の作戦もきちんと練る必要があるかと思います。

ぬるま湯に4年

初版を書き上げたのは、前章で紹介した運用・保守フェーズの現場に入って2年弱が過ぎた頃でした。職場は温和な人ばかりでストレスも殆ど無く、正直なところ、快適でぬるま湯のような環境…。

そのままぬくぬくとしていたら、ある日突然、契約終了の通知が来て慌てることになるだろうな、と不安を感じていました。

何しろ、エージェントに頼っている以上、鵜飼の鵜と立場は同じ。景気の状況によっては、仕事が途絶えてしまう可能性は十分にあります。

ですので、もそうなった時にでも「そうですか、じゃ僕、自分の事業に専念しますんで、フリーランスエンジニアやめます。」と言えるような環境を築かなくては!そう思っていたのです。

その当時は、ものをつくるエンジニアではなく、ITを活用して売上UPをサポートする、Webマーケティングのコンサルタントという立ち位置を目指していました。

ほんの少しずつ、コンサルティングの売上も増えつつあり、2年以内に客先常駐エンジニアの仕事から脱却する、という目標を立てていました。

が、それから時間はあっという間に過ぎ、期日として設定していた2年が経った頃でしょうか、ありがたいことに読者さんからメールを頂きました。

「最後に”2年以内に…”と目標を書かれていましたが、その後どうされましたか?」

と。

いや、もうほんと、ごめんなさい…。

すっかり、その目標自体を忘れてました、というのが正直なところでして…(-_-;)

自分自身も愕然として、その後の話を第二版として書き始めた次第です。

さて、その後どうなったか?第三章に続きます。