フルリモートワーカー再チャレンジ

2021/08/18

スタートアップ企業でのリモートワーク

1月から正式に参画予定でしたが、キャッチアップのために12月後半から時間を使って環境構築を進めていきました。(この時の作業に関しては、事前に確認し、きちんと稼働時間としてカウントして、請求書もお送りしていました。)

この当時はまだサービス自体がPMFしていない(お金を出してくれるユーザーがたくさんいるのかどうかが分かっていない)状態だったと記憶しています。

CTOがAWS周りのインフラを用意し、副業のエンジニアさん1名と海外在住のエンジニアさんが1名、そして自分。このメンバーで欲しい機能をどんどんと追加していきます。

基本的にはSlackでのやり取り。あとは週に1~2回のWebミーティング。それ以外は各自でもくもくとタスクをこなしていく日々でした。

ちなみに「フルリモートワーク」という形態にもいろいろあるようで、企業によっては就業時間中ずっとWebカメラをオンにし、常時Webミーティングの状態になっているところもあります。

参画したチームでは、必要な時にSkypeで音声のみのミーティング、というスタイルでした。

企業の成長とともに

年が明けて、正式にスタートアップへの参画がスタートします。

(ちなみに、この時の契約形態は業務委託(準委任)、週4日の稼働という条件でした。)

当初はエンジニア3名程度でスタートしたこの案件も、時間が経つにつれて徐々に規模が大きくなっていきました。

これ書いているのは、参画してから約1年半が経過した時点ですが、振り返ってみると…

  • ベトナムオフショア開発チームが数名参加。
  • 顧客が増えていき、資金調達も実施。
  • ブランディングのため、社名をサービス名に変更。
  • リファラルによるエンジニア採用が進み、徐々に国内エンジニアも増加。
  • 国内開発メンバーが10名以上に。
  • 営業・CSチームも徐々に人員が増加、専属のデザイナーさんも採用。
  • 資金調達累計額は数億円に。

と、ずいぶん規模が大きくなってきました。

お賃金の交渉

転職や客先常駐で10以上の職場を渡り歩いてきた経験から考えても、この案件はベストと言っても過言ではないな…というのが正直な感想でした。開発メンバーも良い人ばかりですし、他チームの人たちも前向きで働きやすい環境です。

ただし、悩ましいのが金額面。前述したように、当初からかなりディスカウントした金額設定になっていました。これが長く続くと、将来的にちょっとまずいことになりそうです。

特にCTOはその辺りも気にしてくださっていたので、そろそろ1年が経とうとするタイミングで正直に「契約金額がこのままだと将来的にちょっと辛いなと思っているのですが、単価が上がる可能性ってあるでしょうか?」とお聞きしてみました。

職場の制度として月1で1on1と呼ばれるミーティングの場が設定されていたので、その機会をお借りしての交渉です。

先方も気にはされていたようで、もちろん可能性はあるとのこと。もう少し先に追加の資金調達が予定されており、そのお金が振り込まれた次月から単価UPする、というお約束をいただきました。

正直に言えば「ようやく相場よりやや低いかな…」ぐらいになった状態ですが、なにしろ一緒に働いているメンバーが良いので、金額面だけで他に移るというのはかなり腰が重くなります。さらに条件の良い別案件を探す、という考え方もあるとは思いますが、メンバーに恵まれているし、業務委託にも関わらずいろんなことにチャレンジさせてもらえるし…と、自分に言い訳しつつ、まだしばらくはこの案件でサービスのグロースに貢献しつつ、経験を積んでいこうと思っております。

コラム 収入の移り変わり

フリーランスになって、収入はどうなったのか?をざっくりとまとめてみると、以下のような状況です。以下、金額は年商(税金や社会保険料を納める前の金額)ですのでご注意ください。

  • フリーランス1~7年目

エージェント経由で、負荷が低く金額設定の低い案件がメイン。月に45万~50万円×12カ月→500万円半ばを行ったり来たり。

  • フリーランス7年目以降

基本は直契約。時間単価3,500円~4,000円×月間稼働時間120~160h×12カ月→700万円~850万円。

現時点では最高値で約850万円ですが、ここから税金もろもろ支払うので、正社員の年収に換算すると、700万円行くかどうか、というところではないでしょうか。

社員になりませんか?

さて、多少なりともチームへの貢献はできているかな、と思いつつ頑張って開発を進めていたんですが、あるときにCTOから相談がありました。

「あの…。今は業務委託でお願いしているわけですが、正社員になってもらう選択肢ってあったりします…?」

突然のお声がけで驚いたのですが、しばらくはフリーランスを続けるつもりだったので、その場では丁重にお断りしました。

社風や成長のスピード、働きやすさなどを考えれば、確かに素晴らしい会社だな、と少し心が揺らぎます。とはいえ、自分の性格上、社員になってみたものの、しばらくしたらまた「やっぱりフリーランスに戻ります」みたいなことになりそうで、結局ご迷惑をおかけしてしまいそうだな…そう判断し、そのままフリーランスで居ることを選びました。

また、恐らくは正社員になれば身分や社会制度面で安定は得られるものの、業務委託よりは収入が減るというのも大きな理由の一つでした。

その後も、ありがたいことにCEOから直々に正社員にお誘いいただいたりもしましたが、ご期待に沿えず大変申し訳ないと平謝りしつつお断りしたのでした。

楽しくお仕事

さて、そんなわけで、第2版を執筆している2021年現在、地方でお仕事しつつ、スタートアップの開発案件にフルリモートで参画できております。

フリーランスになる前の暗黒時代から考えれば、正直なところ「お仕事って、こんなに楽しくていいの?」という感覚で、我ながら幸運だなぁと感じています。

考えてみると、自分にとっての、この生きやすい感覚は、「自分には選択肢があるのだ」という安心感から来ているような気がします。

初版を書き終えた時点では、仕事にあぶれることはないだろうという安心感はあったものの、エージェントさんに100%依存していて、常駐先が転々と変わっていくだけでした。スーツを着て電車で通勤し、常駐先のマネージャーに指示されながら言われた仕事を淡々とこなす…。突如契約が終了になることもあり、次の案件を探してもらって面談に挑み、ストレスを感じながらも新しい環境に慣れていく…。

そんな永久ループが見えていたので、エンジニアがフリーランスになることを、それほど素晴らしいとは思っていませんでした。

ですが、第2版を書いている現時点では、割と安心してフリーランスで居られる感覚があります。仮に今の仕事が急になくなったとしても、知人に聞いたり、Twitterでつぶやいたりすれば、おそらくはお声がけいただけるだろう…そんな自信が多少なりともあるからです。